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ヘルスケア業界で期待集まる新プログラミング言語「Julia」

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2023.01.11

ビッグデータ / データ分析

「Julia」という新しいプログラミング言語がヘルスケア業界で注目されている。Juliaの優れた処理能力は、ヘルスケア領域のデータ解析における新しいソリューションとして活用できる可能性がある。本記事では、Juliaの特徴や今後のヘルスケア業界にどのように活用できるのかについて紹介する。

ヘルスケア業界での活用が期待されるJuliaとは

Juliaとは、難易度の高い計算や数値解析が可能なプログラミング言語だ。同じプログラミング言語として人気の高い「Python」よりも、高速な処理が可能である点が特徴である。
近年では複雑な計算やビッグデータの解析が必要となるヘルスケア業界での活用が注目されている。

Juliaを使用するメリット

Juliaは既存のプログラミング言語と比較して、以下の4つのメリットがある。

  1. 処理スピードの速さ
  2. 構文のシンプルさ
  3. 外部連携の容易さ
  4. 将来性の高さ

ここではJuliaを使用するそれぞれのメリットについて解説する。

処理スピードが速い

1つ目は、処理スピードが速く、動作の高速化が可能な点だ。その処理速度は、同じプログラミング言語であるPythonよりも速いといわれている。また、ベクトル化(一度に複数のデータに対する計算処理を行うこと)されていないコードでも高速化できるのも大きな強みだ。膨大な計算や解析が求められているヘルスケア業界にマッチする大きな要因が、この処理スピードの速さといえるだろう。

構文がシンプル

2つ目は、構文がシンプルである点だ。既存のプログラミング言語で用いられた記述を省略し、シンプルな構文に置き換えられる。数式のような理解がしやすい記述方法となるので、コード特有の複雑さが解消されるだろう。この構文のシンプルさはデータ処理の最適化につながるため、計算や解析の高速化にも貢献している。

外部との連携がしやすい

3つ目は、外部のライブラリとの連携が行いやすい点だ。JuliaはPythonをはじめとした既存のプログラミング言語と比較すると、ライブラリのバリエーションは少ない。しかし、PythonやC言語などの外部連携ができる機能が搭載されているため、拡張性に優れている。この拡張性の高さが、Juliaの弱点であるライブラリの少なさを補っている。

将来性がある

最後の4つ目は、Juliaは将来性のあるプログラミング言語であることだ。多くの企業が使用しているPythonと比較すると、Juliaはまだ使用者も少なく、人気が高いわけではない。しかし、他のプログラミング言語にはないメリットが備わっている点を考慮すると、その伸び代は十分にあるだろう。バージョンアップを重ねて、より安定性や認知度が高まれば、今後企業で採用される事例は多くなると考えられる。

Juliaを使用するデメリット

Juliaにはヘルスケア業界で活用できる機能が備わっている反面、以下のような課題点も残っている。

  1. 使用者の少なさ
  2. 情報の集まりにくさ
  3. アップデート頻度の高さ

ここでは、Juliaを使用する際のそれぞれのデメリットについて解説する。

使用者が少ない

1つ目は、Pythonと比較するとJuliaの使用者は非常に少ない点だ。現時点での認知度や人気が高いわけではないので、エンジニアやアナリストを発見するのにも時間がかかるだろう。しかし、Juliaは将来性が高く、今後も進化していくと予想される。そのため、認知度や人気が徐々に高まるにつれ使用者も増えていくと考えられる。

情報が集まりにくい

2つ目は、使用者の少なさに伴ってJuliaに関する情報も集まりにくい点があげられる。Juliaの情報を集めるには、海外の公式サイトや大手メディアの質問サービスを活用する必要がある。さらに日本語の資料が少ないので、勉強会やセミナーが国内では行われない、という側面もあるだろう。この情報収集が困難な点も、今後のJuliaの認知度が高まるにつれて解消すると予想される。

アップデートの頻度が多い

3つ目は、アップデートの頻度が多い傾向にある点だ。Juliaに限らず、発展途上のプログラミング言語はアップデートの頻度が多く、仕様が一新されることもある。アップデートするたびに操作性が変わるので、仕様に振り回されることも予想される。本格的に導入を検討する際は、アップデートによる変更点に注意する必要があるだろう。

JuliaとPythonの違い

「Python」とはどのようなプログラミング言語なのだろうか。ここではPythonの特徴と、Juliaとの機能の比較について解説する。

Pythonの特徴

Pythonとは、Juliaと同様にWebやデスクトップアプリケーションなどで利用されるプログラミング言語だ。文法のシンプルさやライブラリの豊富さから、幅広いプラットフォームで使用されているのが特徴だ。その他にも、機械学習や人工知能(AI)アプリなどの開発も可能であり、Juliaよりも高い使用率と人気を誇っている。

また初心者が最初に学習するプログラミング言語として、Pythonが選ばれることも多い。このようにPythonは、使いやすさと汎用性の高さを両立したプログラミング言語といえるだろう。

JuliaとPythonとの比較

JuliaとPythonの違いについて、以下の表にまとめる。

JuliaPython
処理スピード
汎用性×
外部連携のしやすさ
ライブラリの豊富さ×
案件の数×
コミュニティの数

比較してみると、Juliaは処理スピードや外部連携に優れており、Pythonは機能の汎用性に優れていることが分かる。つまり、用途によってそれぞれの言語をうまく使い分けることが重要だろう。

Juliaを活用した今後のヘルスケア業界の展望

ヘルスケア業界において、Juliaを活用した新しいアプリケーションが進んでいる。ここでは、Juliaの活用例や今後の課題点について解説する。

今後期待されるJuliaの活用方法

Juliaを活用した例を2つ紹介する。1つ目は、Juliaを活用したCTスキャンを行い、脳出血を自動で検出するプロトコルの開発であり、海外の大学病院が行っている。Juliaのデータ高速処理によって脳内のわずかな出血まで検出できれば、早期に患者の治療が可能となるだろう。*1

2つ目の例は、同じく海外の病院で行われている患者のバイタルサインや画像、検査結果をもとにしたモニタリングシステムの開発だ。患者の体調が悪化するタイミングを早期に知らせるシステムがあれば、急変によって命を落とす方も減少するだろう。*1

これらの事例はすべて海外で行われており、日本ではまだJuliaが十分に普及しているわけではない。今後も海外の事例が増えれば、日本でも徐々にJuliaを活用した開発が進んでいくのではないだろうか。

Juliaを活用する上での課題点

ヘルスケア業界でのJuliaの有効活用が期待されている反面、今後改善すべき課題点も残っている。Juliaのデメリットでも述べたように、比較的新しいプログラミング言語なので、使いこなせる人材が少ない点があげられる。さらにライブラリの種類やサポート体制の少なさも相まって、新しいプロジェクトになかなか組み込みにくいのが現状だ。

しかし、すぐれた処理速度や構文のシンプルさなど、Julia独自のメリットも多い。今後さらに使用率や認知度が高まれば、ヘルスケア業界の発展を促す要素の1つとして期待できるだろう。

ヘルスケア業界で期待されている「Julia」のまとめ

Juliaは汎用性の高いPythonとは異なり、特定の分野に特化した機能が備わっている。新しいプログラミング言語であることから、現状ではライブラリの種類が少ない点や認知度が低い点など、解決すべき課題点もみられている。しかし、他のプログラミング言語にはない処理速度の優秀さは、Juliaの唯一無二の特徴だ。今後、Juliaを十分に活用できる土壌が整えば、ヘルスケア業界のさらなる発展につながるだろう。

参考

(1)Julia 公式HP
https://julialang.org/

(2) 【入門編】プログラミング言語Juliaの特徴、メリット・デメリットを解説 | Udemy
https://udemy.benesse.co.jp/data-science/data-analysis/julia.html

(3)Julia for Data Science in Healthcare | by Shereese Maynard
https://shereesemay.medium.com/julia-for-data-science-in-healthcare-af9b9bc914d7

 

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