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【キャリア編】きっかけは自身のメンタル不調 金融業界から異色の起業をした理由

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2022.12.08

インタビュー

メンタルヘルス

株式会社Melon代表取締役CEOの橋本氏は、新卒で外資系投資銀行に入社。その後、資産運用会社へ転職し、約15年にわたって金融業界に携わってきました。マインドフルネス事業で起業したのは37歳のとき。自身のメンタル不調や友人の死がきっかけで「心」と向き合うようになったといいます。外資系金融マンとして働いていた橋本氏がまったくの異分野で起業した背景や、起業への思いを伺いました。

【プロフィール】
早稲田大学卒業後、外資系投資銀行と資産運用会社での15年間のキャリアの中で、マインドフルネス瞑想を継続し効果を実感。2019年に株式会社Melonを設立し、日本初のオンライン・マインドフルネスのプラットフォーム「MELONオンライン」をスタートさせる。現在は経営のかたわら、法人向けのマインドフルネス研修やイベント登壇、個人向けの講演など各方面でマインドフルネスを広める活動を行なっている。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会理事。

大学時代からさまざまなビジネスモデルを考え続け、30代で起業へ

ーー橋本さんは金融業界を経て37歳のときに独立し、株式会社Melonを設立されましたが、もともと起業は考えていたのでしょうか。

大学生のときから、いつか起業したいと考えていました。しかし、僕の周りではスタートアップという概念が浸透しておらず、私自身も経営の知識がありませんでした。一応、事業アイディアはあったものの具体的に行動することはなく、友人と同じように就職活動をして、新卒で外資系投資銀行に就職しました。

ーーなぜ、金融業界に進んだのでしょうか。

稼げるからです。というのは冗談で(笑)、大学で金融や経済について学んでおり、以前からこの分野に興味があったからです。数字と常に向き合わなきゃいけないので大変ですが、その分、成長を実感できる点も、この分野に進んだ理由の一つです。

「この現実から目を背けたくなかった」 起業のきっかけは自身のメンタル不調と友人の死

――学生時代から起業を考えられていたとのことですが、実際に起業しようと思ったのはいつ頃ですか。

30代後半です。30代前半は子どもが小さく、いわゆる「嫁ブロック」もあり、すぐには独立しませんでした。起業しようと思った大きなきっかけの一つは、自身のメンタル不調です。

プライベートで、自分の力だけでは解決できない大きな問題に直面し、心療内科では「軽度のうつ病」と診断されました。自分は対処できないのに、同じ悩みでずっと苦しんでいる。その状況から抜け出すためにいろいろ調べる中で、仏教の「執着を捨てる」という考えに出合い、ハッとしました。

私は今まで、問題は外的な要因しかないと思っていたのですが、内的つまり「自分の考え方や捉え方」を変えることで問題との向き合い方も変わる、ということを知りました。それから瞑想やマインドフルネスについても調べるようになり、この領域がストレスを軽減や生活の質の改善につながるという論文が多くあると分かり、ビジネスとしてもニーズがあるのではと考えるようになりました。

また、同じ時期に友人が自殺をしました。よく一緒に飲んでいた優秀な営業マンが、実は重度の鬱を抱えており、その苦しみを打ち明けぬまま亡くなりました。自殺のニュースをテレビやネットでよく見ますが、まさか身近なところで起きるとは思わず大きなショックを受けました。この現実から背を向けたくない。起業をするなら「意味のあること」をしたい。そういう思いから、15年間携わってきた金融業界から離れ、マインドフルネス事業で起業しました。

――金融業界からマインドフルネス業界で起業するというのは、なかなか珍しいキャリアですが、そのような背景があったんですね。まったく異なる業界に足を踏み入れる中で、今までの経験が生きていることはありますか。

たくさんありますね。マインドフルネス事業は世の中に必要なものの、マーケットがまだ小さいため、ビジネスモデルの勝ちパターンが見えていないのが現状です。だからゼロイチで始めるのはハードルが高いんですよね。

ですが、お客さんから資金を預かって投資をしていた金融マン時代のように、トレンドやニーズ、ビジネスモデルを分析する能力は生かされており、そのおかげで自身のサービスの可能性を見いだすことができました。

お客さんの喜ぶ顔を見て「じんわりと幸せな気持ち」に 金融業界にいたときにより幸福度は高い

――まったく異なる分野に挑戦する中で、仕事との向き合い方にも変化はありましたか。

お客さんとの関わり方は大きく変わりました。金融業界にいるときは、正直お客さんの顔はあまり想像できず、それよりも目の前の資産をどう運用するか、少しでも増やすにはどうすればいいのか「数字」と必死に向き合っていました。もちろん、期待に応えられるような結果が出るとうれしいですし、仕事への満足度も高いです。

ただ、その気持ちの持続度は低く、すぐに次の数字とにらめっこが始まります。そんな日々は緊張感とやりがいであふれているものの、心が削られることも多く、無力感にさいなまれることも少なくありませんでした。

一方で、マインドフルネス瞑想スタジオではお客さん一人ひとりの顔が見え、「ありがとう」と言ってもらえると、じんわりと幸せな気持ちになります。そう言ってもらうたびに、この事業で起業してよかったと思いますし、私自身も今のほうが幸福度は高いです。

――2019年に株式会社Melonを設立され、今年で4年目とのことですが、事業はどのように成長しているのでしょうか。

創業から約半年間は、私ひとりでほとんどの業務を担当していました。ホームページの作成やレンタルスタジオの手配、集客などすべてやっており、最初は、まさにスモールビジネスからスタートしました。
現在は各事業は私の手から離れて、メンバーの力だけでほとんど自走できていますが、新規事業や新たな組織をつくるときなどは私も積極的にアイディア出しなどに関わっています。

株式会社Melonにはマインドフルネス瞑想講師や、IT業界やコンサルティング業界など、さまざまな業界からメンバーが集まっています。後半では、組織づくりや展開しているサービスについて詳しく伺いました。

後編:事業編を見る


株式会社Melon
会社HPはこちら

News
早稲田大学とMELONが共同研究を開始。うつ、または不安症状のある人へのマインドフルネスの効果を検証。

 

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